ラッチアップの原因(基本的に集積回路(IC)はラッチアップします) 誘導回路のスイッチングが原因となります。(ディスクリート回路は寄生回路が無いのでラッチアップはありません) 下図のリアクタンスのスイッチングでスイッチがターンオフ時赤色の回生電流が流れます。この電流はドライバー回路 のGNDラインからドライバー回路のVCに向け逆電流が流れ、ドライバーICの寄生トランジスタや寄生ダイオード回路 がフリップフロップ回路(ラッチ回路)となりロックされ異常や破壊を引き起こします。 ICの逆電流によるゲートの負電圧がスレッショールドを超えると寄生回路が能動化してラッチアップを起こします。 ラッチアップの対策 (1)GNDラインを短く、太くすることによって基板のパターンのインダクタンスを減少させ GNDラインでの共振現象や過 度現象を抑えます。(思い切って基板の膜厚を150μmにするのが正解です) 回生ダイオードを高速SICダイオードにし、EMCを軽減すべきです。(スナバ回路の簡素化も期待できます) (2)阻止ダイオード GNDからドライバーICのVCへ向かう電流を阻止します。 (3)バイパスダイオード GNDからドライバーICのVCへ向かう電流をこのダイオードに分流させてドライバーICの逆電流を軽減します。 (4)デカップリングコンデンサ VCライで電圧変動を軽減します。 |
この回路の欠点 VEEをGNDラインからフローティングさせる目的で阻止ダイオードを使うとVEE端子電圧は阻止ダイオードの飽和電圧分 高い電圧になります。従ってアナログ電圧回路では飽和電圧分の誤差が生じて使えません。 |
ワンチップマイコンのラッチアップに関係する不具合と対策 マイコン制御を理論ではなくて手法として公開いたします。 |
1、クロックが止まる これは重大な問題です。すでにマイコンの機能は無くなります、逓倍クリスタルは使用しない、クリスタルを10MHz以 下にする程度では解決しません。 |
2、リセット異常でマイコンが正常に立ち上がらない これも重大な故障モードです。 |
3、その他暴走現象、異常動作現象のモードがあり解決しない。 |
対策 |
1、GNDラインのグランド格子化 スペースや部品配置で困難を極めますがパターン設計する。 基板のパターン幅を広く、膜厚を150μmと極端に厚くしインダクタンスを低下させることは効果的です。 |
2、電源入力ラインにバイパスDとデカップリングCを入れる。 |
3、フィルタリングでGNDラインへの高周波流入電流の阻止。 |
4、バイパスDとデカップリングCの回路を15mm以内の間隔で3段〜4段通過させたあとにマイコンのGNDピンに接続。 |
5、リセット端子にはメーカー推奨回路に 更にショットキーバリアダイオードのバイパスDを追加。 |
6、マイコンの電源以外の入出力線のGND側は接続しない(又は電源入力端のGNDに一点接続する) |
7、それでも影響を受けやすい電力段制御器出力線などのPIO出力は3.3KΩ程度でプルダウン(GND側は6項に準ず) |